2026年2月27日金曜日

ヘラクレスオオカブトムシの謎

もう2月も終わりそうです。。。。早いですね。 


今回の主役のヘラクレスオオカブトムシは世界最大のカブトムシとして大変有名で、名前を聞いたことも多いかと思います。生きたものを一度じっくりと見たいと思っていましたが、最近ペアを入手する機会がありました。

 

15センチほどあるオスです


 こんな虫が近所にいたら毎日ライトトラップをしてしまいそうです。


ヘラクレスは南米に広く分布していて、地域毎に特色がある「亜種」に分けられています。今回入手したのは原名亜種Dynastes hercules hercules です。但し、現地で得られたものではなくて、日本で養殖されたものです。日本にはたくさんいるようですね。。。

 

こちらはメスです。日本のカブトムシに似ていますね

このオスを見たときの正直な感想は、「長い」でした。確かにかなり大きいのですが、どちらかといえば角が体長の半分ぐらいを占め、ひょろ長いという印象です。世界最大、という名前にしては少々迫力が不足しているように思いました。世界最長、かな。


ちなみに、昆虫をみて大きいと感じるときの最も強い褒め言葉は「太い」ですね。少々短くても、太い種は迫力満点に感じます。

 

ヘラクレスオオカブトのオスの角には、ゴージャスにも毛がふさふさと生えています。まるでブラシのようです。毛深い虫は、珍品感が増しますね。虫屋の方に毛深い虫を持っていくと喜ぶかもしれません。

 

この毛ですが、一カ所だけ短いのか生えていないのか、目立たない部分があります。

 

矢印のところ、です

この部分の存在は標本でもわかりやすいのでずっと前から知っていて、どうしてだろうかと思っていました。これは、生きているものを見ているとすぐに分かりました。

 

下の角がちょうどあたるところでした。この個体は新鮮な個体なので、摩耗して抜けたのではなく、最初から生えていないのか毛が短いようですね。間違っていたらごめんなさい。でも、毛が少々すり減ろうとそんなに生存に影響しないようにも思いますので、わざわざ毛の状態を変えるように遺伝子の機能などが変わっていったのは大変不思議で、ここに長い毛が生えていると都合が悪い何かがあるのでしょうね。常になにかに触れられているようで気持ち悪い、とか。

 

さて、このカブトムシ、結構匂います。日本のカブトムシも匂いを出すので近くに居ると分かるのですが、それよりもかなり強い匂いに感じました。また、日本のとは匂いが異なります。甘ったるい匂いです。

 

どこか嗅いだことがあるように感じられ、何かの匂いに似ているな、、、と思っていたのですが、とあるときにその正体が分かりました。

 


こいつの匂いにそっくりでした、というよりほぼ同じです(個人の感想です)。これを舐めた時に口いっぱいに広がる、ヘラクレスの匂い。。。

 

標本からでは分からないことも、生きたものから得られる情報はやはり多いですね。

 

2026年1月30日金曜日

ヒメオオクワガタ

 前回、オオクワガタを紹介しましたが、日本にはオオクワガタに似たクワガタがいます。それがタイトルの通り、ヒメオオクワガタです。オスがオオクワガタに似た形の大顎を持っていて、やや小型なことからその名がついたのだと思います。虫によくある、矛盾した名前ですね。

 

オスのヒメオオクワガタです。あまり大きくない個体ですね
機会があればもっと大きな個体の写真を入れ替えます

大顎の形態以外、全体的な雰囲気はオオクワガタにはあまり似ていません。脚が長くすらっとしていて、どちらかといえば寸胴で短足なオオクワガタとはかなり異なります。メスはもっとオオクワガタとは明確に異なり、優占種のコクワガタにそっくりです。やはり脚が長いことや、前胸の形が異なるなどの違いで区別はできます。

 

これがヒメオオクワガタのメスです

こちらがコクワガタのメスです。恐ろしく似ています

と、偉そうなことを書いていますが、この写真を用意しているときに間違えそうになりました。。。


オオクワガタほどではないですが、このクワガタも結構珍しく、一般的な方法でクワガタムシやカブトムシを観察しているとまずお目にかかれません。出会うには、この種の習性を知っておく必要があります。私も、出会うまでに長~い年月が掛かりました。

 

まず、ヒメオオクワガタは平地には生息しておらず、ブナが生えている高い標高のところにいます。ですのでそのようなところに行く必要があります。標高が高いと、普通の感覚でクワガタが集まるような、樹液の出ている木はほとんどありません。行けばなんとかなると考えて森に向かっても、ピクニックを楽しんで帰ることになるでしょう。

 

ヒメオオクワガタはヤナギなどの広葉樹に集まることが知られています。このヤナギの木の、高いところで幹をかじって樹液を出し、それを吸うという習性が知られています。虫の形は習性と一致していて、だいたい脚が長い虫は歩くのが得意です。高く細い枝に登りやすくなっていると考えられます。ヤナギはブナ帯の沢沿いにはたくさん生えていますから、その高いところにポツンポツンとついている小さな虫を探すという根気の良さが必要です。また、取り込むには網が必要ですが、たくさん枝がついている中に入れるなど、その扱いもかなり難しいです。

 

*ヤナギは平地でもクワガタ採集に優秀な木で、大きな河川のほとりに生えているこれらの木は絶好のポイントになっていることがあります。

 

さらにヒメオオクワガタには他のクワガタとは異なる習性があって、それは秋口に個体数が多くなる、というものです。だいたい9月頃でしょうか。このあたりに成虫が多くなるのです。もちろんそれよりも早い時期でも居ますが、この時期がもっともよいとされています。

 

また、ヤナギだけではだめで、幼虫はブナの枯れ木に入るので周辺にブナが多く生えていることも必要になります。そのような条件が揃っている場所を探すのが大変かもしれません。いるところでは個体数は多く、木を蹴ったりするなどの昔ながらの方法でも得ることはできるはずです。

 

幼虫や新成虫が入っている枯れ木が見つかれば、そのなかを探ることでも採集することはできます。但し、ヒメオオクワガタが入るのはものすごく堅い木です。スカスカの木にはまず入っていません。枯れ木とはいえ、探すのも一苦労です。こちらの腕のほうが壊れそうになります。このようなことから、なかなか出会うのが難しい虫なのです。

2025年12月30日火曜日

オオクワガタ

 言わずと知れた超有名な虫で、多くの方がその名前を聞いたことがあると思います。カブトムシやクワガタムシに興味が出た子供には憧れの虫で、野外で一つでも採集できたら一生の思い出になったのではないでしょうか。他のクワガタとは一線を画するほど得がたいこと、名前の通り相当大型になり迫力があること、変わった形の大あごなど、人気が出るのも頷けます。珍しい割に北海道から九州まで広く生息していることもこの虫を有名にした一因でしょう。

 

関西の有名な産地で自力採集したオオクワガタ、です

私のコレクションのなかに、数体のオオクワガタがあります。どれもあまり大きな個体ではありませんが、これらは自力で採集したものです。オオクワガタにも有名な産地というものがあり、私が小学生~中学生の頃は、今から思えば採集自体はそこまで難易度が高い虫ではなかったように思います。もちろん小学生の私には相当採集は厳しかったのですが、それでも親に連れて行ってもらった時には2回に一度ぐらいは採集できたものです。まあ採集できるのはメスが多かったのでなかなか満足いく採集にはならなかったのですが。もし今の状態のまま当時に戻れたらもっと採集できたでしょう。

 

現在では、この虫を取り囲む状況は悪化するばかりで、自然状態のこの虫を入手するのは本当に難しくなりました。オオクワガタが多い地域の代表は、いわゆる里山という環境です。この里山は利用価値が低いと考えられるのか、伐採によって日本からどんどん失われていっています。オオクワガタが好むのは巨大に成長したクヌギなどの木です。こんな木は一度無くなると、復活するにも相当な時間が掛かります。昔はこのような大きな木がたくさん残っていた地域でも、どんどんと伐採されていき、特に最近ではソーラーパネルを敷き詰めた土地へと変貌していっています。

 

オオクワガタが好む、洞があいた大きなクヌギの木

つい最近、久しぶりにオオクワガタの有名産地に赴いたときにも伐採されている林があり、なんとも言えない気持ちになりながら散歩していました。私が初めてこの虫を手に入れた木は奇跡的に未だに残っていますが、この木が失われないことを願わずにはいられません。


ソーラーパネルの海に沈んだ、かつての好採集地

その一方で、飼育下ではオオクワガタを繁殖させることは難しくなく、養殖された個体はものすごい量になっています。昔は購入するにも大変だった種でしたが、今はそこそこ大きな個体であれば(といっても野外で入手するのは奇跡のレベルの大きさです)手頃な価格で入手できてしまうので、入手に関してはずいぶん敷居が下がったような状態で、良いのか悪いのか、なかなか悩ましい状態ですね。

 

2025年11月28日金曜日

王への謁見

 今年、ついに憧れの虫、日本産の近縁種とは一線を画する大きさ、立派な角を持ち、神様の名前を冠する、そんな「王」ともよばれる虫に謁見する栄誉を得ました。情報をいただいた知人には深き感謝を。

 

そのお姿がこちら・・・

 

オスです

ダイコクコガネ、といいます。超絶有名な虫なので知っている方も多いでしょう。造形が特殊で、かっこよいだけでなく愛嬌もあり、他の追従を許さないぐらいの魅力があります。

 

こちらはメス、角がありません。カブトムシと同じですね

ところがダイコクコガネには強烈な欠点(失礼!)が一つあり、そのせいで数も減らしています。要するに、大型ほ乳類の糞を食べる糞虫の仲間で、牛などを昔ながらに自然に任せて放牧しているところが無くなってきていて、だんだんと住処がなくなっているのです。

 

放牧していても、薬で牛を守っていると、その薬がこの虫にも作用して発生しづらくなることもあるようです。

 

さて、この欠点は人間にも作用します。ダイコクコガネの採集方法は大きく2つあります。一つはライトに飛んでくるので、夜にライトトラップを仕掛けることで出会うことができます。


この個体はライトにきたものです。このために高い装備を買って入念に準備したのです。それでも準備不足でしたが。

 

もうひとつは、、、、分かりますね。そう、牛の糞をいじることで採集できるのです。放牧場は状態も様々な糞だらけ。臭いも強烈、雨なんか降っていたらどろどろです。そのなかを、状態のよい物(ぶつ)を探してうろうろうろ、見つけたらその周辺をスコップで探して回るのです。

 

様々な防具を身につけて防御力を高めて少しやってみましたが、なんか虫屋としてレベルが上がった気がしました。ただ、観察している風景の写真を撮ったりはさすがにできませんでした(カメラを取り出そうとすると、ね)。

 

もっとも、ハイレベルな方々は私なんかでは想像もできないぐらいの低い防御力で機動性を高めて採集をなさるそうで、とてもここでは書けませんが、様々な技術もあるようです。興味があれば検索してみてください。まあ、私はそれほどレベルは上げなくて良いかな、、、