2024年6月26日水曜日

ルリヒラタムシ

 名前の通り平たい甲虫です。有名な虫ですが、結構珍しく出会うと嬉しくなります。

 

良く撮れたと自画自賛したい写真

このように金属光沢を持っていて大変綺麗で、大きさも2センチを越えてきて結構なものがあります。

 


この角度からだと分かりやすいかな。平べったさが良く分かると思います。

 

この平たい体は枯れ木などの樹皮の下に潜りやすくするためのようです。なぜ潜るかというと、隠れるためだけではなくて他の昆虫を探して捕食するためです。こうみえて、肉食性です。

 

この個体も、カミキリムシの幼虫を探していて見つけました。この個体もまたこの木でよい思いをしたに違いありません。

 


ルリヒラタムシとは色が異なる種がいて、こちらはベニヒラタムシといいます。この種はルリヒラタムシよりも小型で、見る機会もより多いです。やはり大変扁平な姿をしています。

2024年5月30日木曜日

ヤマシャクヤクとフタスジカタビロハナカミキリ

今回はこの時期ならではの清涼感のある話題を。 

 関東付近だと5月頃に、ヤマシャクヤクという可憐な花が咲きます。名前の通りシャクヤクの一種で、自然に生える原種のひとつです。シャクヤクといえば綺麗なものの代表格で広くご存じの方も多いでしょう。結構大型で目立つ、人気も高い花です。
このヤマシャクヤクですが、綺麗な花びらが汚くなっていることがあります。
このようにかじられた痕がついていたりします。このようになっていると、フタスジカタビロハナカミキリがいることがあります。
このようにそっと花を覗き込むと、ひっそりとこの美しいカミキリが中に潜んでいたりします。1センチを超える、と書くとあまり大きくないように聞こえますが、カミキリムシにしては大型の方です。天気の良い日には、ぶんぶんと飛び回って花に飛びついたり、盛んに後食している姿を見ることができます。
このカミキリはヤマシャクヤクに強く依存し、成虫もその花を食べますし、幼虫もこの植物の根を食べるとされています。そのためか、非常に緻密な色彩をしています。体を覆う翅はクリーム色なのですが、頭部や前胸、触角や脚の先端は黒く、これはヤマシャクヤクのおしべの色に合わせたものだと考えられます。

脚はまるで靴下を履いているようです。単品でみれば白と黒のコントラストがはっきりして非常に美しく、目立つように思える体色ですが、ヤマシャクヤクの花の中だと意外に目立ちません。
このカミキリムシは、当然ながらヤマシャクヤクがないといないので、この植物があることが前提条件となっています。ヤマシャクヤク自体が珍しいものなのでおいそれとみつけることができないのですが、分布しているところでの個体数はそこまで少ないものではありません。

 問題は出現時期で、ヤマシャクヤクが咲いていることが虫を見つける前提となるのですが、ヤマシャクヤクの開花期間自体が大変短いので、きっちりと時期を合わせることが大切になっています。最近は温暖化の影響かはわかりませんが、開花と出現時期が早くなる傾向があるので、行ったら既に花もカミキリも終わっていた、なんてこともよくあります。

 自然が好きな方はきっと気に入る虫なので、ぜひともこのフォトジェニックな虫を探してみてはいかがでしょうか。

2024年5月2日木曜日

南の変わった虫

とある理由で、あっという間に4月が終わっていました。まるで天国にいるような気分でした。論文をプレプリントサーバーに投稿したり、実験したり、採集に久しぶりに出かけたり、出張したり、充実した一ヶ月でした。

 

さて、出張先で変わったものに出会ったので、それを紹介してお茶を濁したいと思います。

 

 

下を向いています

 

これはダンゴムシではありません。しっかりよく見ると、二本の長い触角が生えています。ダンゴムシのものとは全く異なります。

 

このように細くて長い触角を持つ虫、皆さんの周囲にも居ると思います。そうです、これはれっきとしたゴキブリの仲間で、「マルゴキブリ」といいます。

 

見かけがダンゴムシに近いだけではなく、触るとダンゴムシと同じように丸くなるのです。初めて見たときは私も驚きました。驚きすぎて、採集して標本にしちゃいました。今回も、1匹だけ標本を作りました。


ゴキブリだけだと味気ないので、きれいどころも少し紹介しましょう

オキナワチョウトンボ、かな

リュウキュウアサギマダラ、かな

オキナワモンキカミキリ。いくら何でも早すぎます

このような綺麗な生き物が普通にいる環境がいつまでも残っていてほしいものです

 


2024年3月28日木曜日

富士山

確か須走あたり


日本一高い山として誰でも知っている存在ですが、伊豆に住む大きなメリットは、この富士山が身近にあることでしょう。下田から直接みることはなかなかないのですが、少し遠出しようと北上すると、修善寺~三島あたりで「どーん」と現れます。この迫力には、関西出身の私は大変驚かされました。

 

夏の、雪を被っていないのも良いのですが、やはり高いところが雪化粧された富士山は大変綺麗です。次の写真は三島駅から撮影したものですが、こんな風に富士山がある景色がこのあたりでは日常なのです。

 

残念ながら曇りでした

富士山は形が整っていて綺麗ということだけでなく、周辺に比類する山がなくて大変目立つ、ということも良い点だと思います。そのことを実感するのは、中央高速道路で長野方面~東京方面を走るときで、北岳(2番目に高い山です)や八ヶ岳といった有名な山々を目にしながら進むのですが、正直、看板が出ていないとどれがどれかよく分かりません。が、突然現れる富士山だけは別格で、すぐに分かります。

 

富士山の魅力はそれだけでなく、周辺に虫採りに適したポイントがたくさんあることです。一日に富士山の周辺をぐるっと半周ぐらいすることもよくあります。フジミドリシジミ、フジヒメハナカミキリ、フジコブヤハズカミキリなど、富士山にちなんだ虫もいます。大きな山だけあって、静岡側と山梨側で採集できる種も変化します。富士五湖も採集ポイントの説明によく出てきます。

 

ちなみに、登ったことはありません。車の力を借りて五合目までは行ったことがありますが、降りることなくUターンしました。山頂付近は森林限界を超えているので、ほとんど何もいませんから個人的にはあまり用事が無いのです。