2026年10月29日木曜日

昆虫採集の悪口

 今日は、昆虫採集という趣味の悪口を書こうと思います。いいところはたくさんあります。自然や科学への興味を惹起するにはもってこいですし、頭も体も鍛えられる点も素晴らしいと思います。そのようなことが書かれていることはよくあると思います。が、それも度を過ぎればとんでもないことになります。

 

(1)  お金がかかる

昆虫採集は、意外かもしれませんが深みにはまるとお金が掛かります。まず、道具が高い上に消耗品です。需要が低いので高価になりがちなのです。半ば必需品の捕虫網は、ピンキリではありますが高いものはロッドだけで10万を超え、ネットの部分も枠だけで1万、ネットで5000円とかします。しかも壊れるのですよ。虫を採る時、ネットの値段なんか気にしていられません。昆虫の素早い飛翔に合わせて速く振り抜くと「バキッ」と割れます。ビリっと破れます。虫に夢中になって、沖縄で地面に置いた竿を踏んでしまって壊したのは私です。オオトラカミキリがいるかも知れないとおろしたてのネットを藪に突っ込んで、ビリビリに引き裂いたのも私です。


捕虫網。竿は長年メンテを繰り返して使っています


 ライトトラップがしたい?やりましょう!でもこれも道具一式を揃えると10万単位で金が飛んでいきます。こちらは一度揃えたらなかなか壊れるものではないですが、他の人の装備と比べて物足りなさを感じ、どんどん買い足して、強力になっていくのです。運ぶだけで大変になります。

 ばかにならないのが遠征代金。採集していると近場では物足りなくなります。車で数100キロ、高速代、ガソリン代が飛んでいきます。飛行機、そして海外へ、出費が加速します。宿泊代も必要ですね。しかもこれらはランニングコストなのですよ。毎週のようにお金が飛んでいきます。

 虫屋は、ネットショッピングを見てはいけません。数々の海外産の魅力的な標本、そして輸入可能な生きた虫が売られています。どれもこれもお値打ち品、採集に行くことを考えるとタダ同然の価格で売られていることも。どんどん買いましょう。するとあら不思議、財布がかる~くなっています。一つ一つがそれなりの価格の上に、欲しい虫は無限に出てきます。既に持っている種類でも、ペアにしたい、大型、色違いなど、個性を気にしだすと本当にキリがありません。人の欲望には底がありませんね。標本商が集うインセクトフェアなるイベントもあります。行かないほうが良いですよ。10万20万あっというまですから。

 

(2)   きつい

運動も兼ねる採集は体にもよさそうですが、それが朝の8時から夕方の18時まで、ず~っと山を練り歩くような状態だとどうでしょうかね。膝への負担は相当なものです。夜間採集、やりましょう!ライフの残量にはには気をつけて。次の日の運転は特にご注意を。歩く途中でこけて体を痛めることも。森の中はアニメなどの記述とは全く異なり、かなり歩きづらいです。ずっと地面の虫を探して腰を痛めたりもします。夏は熱中症のリスクもあります。たっぷり水分を持っていきましょう。重くて負担が増えますね。筋トレです。

 

(3)   汚い

山の中は爽やかで最高、のはずですが、運動で汗がどんどん出ます。休もうと座るにも土、泥、そして糞の山です。最新の注意を払って腰を下ろさないと、とんでもないことになります。最近は鹿などが増えてきて、ごろごろごろごろ物が転がっています。日当たりの良くない場所だとカビが生えていたりして最悪です。私の秘蔵ポイントに踏まずに採集するのが不可能なほどたくさんの大きな糞を転がすのはやめてください。

 そしてこの糞がね、虫を呼び寄せるのですよ。糞をほじくらないといい虫は採れませんよ!達人になると、牧場などで新鮮なものをもらってきて、車で運んでお皿に盛り付けて、虫を採るそうですよ。糞は意外に集めにくいので(売ってないし)、色々とテクニックがあるそうです。セルフィーとかマイトラップとよばれたりしてるそうですね。さらにそれを、冷凍保存(どこで?)する猛者がいるらしいです。糞虫だけでなく、チョウのような綺麗どころも糞や尿に寄ってきます。熱帯では、わざわざ腐らせた海産物エキスを持っていって振りまき、チョウをおびき寄せるそうですね。ネットが汚染するのは確実です。

 

(4)   危険

山の中は危険がいっぱい。数多くの危険生物が生息しています。有名なのはヘビですね。南西諸島にはハブという、日本最強の毒蛇、厄介なことに熱を感じて積極的に噛んでくるという凶暴さ、細心の注意が必要です。

マムシです

そして野生の哺乳類。イノシシなんかはいかにも危なそうですが、シカも危険です。蹴られたり角で刺されたりしたら危ないですし、ポイントまでのドライブ中に出くわして事故になると廃車の危険性すらあります。最近では何といってもクマが増えています。とある有名な採集者、残念ながらお亡くなりになられてしまいましたが、は言いました。

 

「南西諸島のハブは確かに怖い。でも所詮はヘビ。ヒグマの恐怖には叶わない」

 

小さいものにも要注意です。ハチ、毒毛虫、ムカデなんかが降り注いできます。海外だとサソリやクモにも注意が必要です。そしてさらに小さなマダニ、ヤマビル。これらは鹿の増加とともに増えています。ヤマビルは血を吸うだけで危険ではないですが、血が止まらなくなるのでスプラッタ状態になります。マダニは厄介な感染症の危険性があります。ざっとネットで調べると、致死率20%もあるそうですよ。年を取るほうが死亡率が高いそうですね。私が年を取ったときに、山は安全に歩ける状態にあるのでしょうか?

私に取り付いたヤマビル

 

(5)   家庭の厄介者

採集、楽しかったですね。たくさん虫が採れてよかったですね。その虫をどこに保存しましょうか?国土が狭く、湿気の多い日本は適切な標本の保管だけでも一苦労です。標本箱は分裂します。最初はひとつだったのが、不思議なことに10箱、20箱、、、、、と増えていきます。採った虫を整える場所も必要です。作業スペース、機材を置く机も必要になりますね。乾燥させておかないとカビが生えるので、専用の部屋が欲しくなります。幼虫などを採集する場合には飼育もしなくてはなりません。湿気が出ますから、当然標本とは同じ部屋に置けません。部屋が2つ目ですね。一時保管用に冷凍冷蔵庫があると便利です。食材とは一緒にしないほうがよいでしょうね(特に糞虫とかね)。

 

こんなふうに、はまり込むと様々な困難が立ちはだかるのです。程々にとどめておくのがよいですね。知人で、家に来た虫だけを記録している、という方がいます。素晴らしい取り組みだと思います。ただ、自然豊かな地域に住んでいることが絶対条件になります。

 

 

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