2018年11月20日火曜日

カタユウレイボヤが漫画になった!

我らが愛する?カタユウレイボヤ。科学史においては世界で初めてゲノムが読まれたホヤであり、動物としても7番目の快挙でした。また最近ではよく耳にするようになった、ゲノム編集がホヤとして最初に行われた種だったり、過去には有名な先生による歴史的な研究に使われたりと、様々なところで活躍しています。


このカタユウレイボヤが、ついに主役!?となる漫画が出てしまいました!


「飼育少女」という、主人公の高校生が生物の先生に教わりながらいろいろな変わった生き物を飼育するという、タイトルそのままながら予想以上に硬派な内容の漫画です。その漫画で、カタユウレイボヤが飼育されたわけです。


たぶんホヤ自体が漫画で出てきたことは何度かあると思います。ただそのほとんどがいわゆる食べるホヤ、日本ではマボヤという種になると思います。カタユウレイボヤが漫画に出るのはこれは希有な例でしょう。


(ちなみに先生は北斗の拳世代で、先生は大学に合格後すぐに徹夜で読んだそうです。これにもホヤ~は出てきますね)


何よりも、今回の漫画の面白いところは写実的な描写だと思います。カタユウレイボヤもそうですが、出てくるどの生物も細かに、リアルに描かれています。そのような描写の細かさや、飼育に対する工夫など、生き物をよく知って、何よりも好きな作家さんが描かれているんだな、と思わせる内容になっています。カタユウレイボヤも、ユウレイボヤではなくちゃんと「カタ」ユウレイボヤとして出てきますしね。


読み物としてもほんわかして面白いだけでなく、生物を知っている方が読めば「くすっ」と刺激されそうな漫画です。是非一度読んでみてください。リンク先は以下で、この記事を書いている今はウェブ上で読めるそうです!


https://babymofu.tokyo/_tags/%E9%A3%BC%E8%82%B2%E5%B0%91%E5%A5%B3


先生は既に1-2巻を買われていて、ホヤの話が載る巻も「絶対買う!」そうです。


作家の方、仲川麻子さん、ですが、この方の描かれた他の漫画についても先生は「ホヤ以上に是非とも紹介したい~」と鼻息荒くされていますが、それは次回に紹介してもらいましょう。そちらは虫がらみだそうです。

2018年10月20日土曜日

秋に出てくるカミキリムシ

暑かった夏も終わり、秋になりました。過ごしやすい日々が続いていますが、この時期になるといつも聞かれることが。。。


「先生、虫もいなくなってしまいましたね!」


いやいや、虫はいなくなることはなく、幼虫など形を変えてちゃんと生育してますから!その気になったら真冬でも採集を楽しめますから。知り合いのベテラン先生なんかは、「冬のほうが本番だ」とばかりに採集されていたりして、なかなか奥深いものなのですよ。


さて、この時期になるといつも紹介したいと思っている不思議なカミキリムシがいます。


この茶色いものがそのひとつ、「フジコブヤハズカミキリ」です。色が示すように枯れ葉に紛れて生活していて、見事な保護色になっています。枯れ葉と縁の深いカミキリで、まさに秋、枯れ葉が増える頃に成虫が出現します。そして、カミキリムシのなかでは珍しく成虫で越冬します。


このカミキリは1~2センチぐらいのサイズがあってなかなか大きく形も特異で、また多くの虫の成虫シーズンが終わった時に出現することもあって非常に人気があるグループです。


フジコブヤハズカミキリはその名の通り、富士山付近に分布していますが、生息域は中部付近に限られています。それは、このカミキリが「飛べない」ことと関係しているかもしれません。そう、飛べないという珍しい?特徴を示すのです。飛べないために各地で種分化が進んでいるようで、東北の方には「コブヤハズカミキリ」という別の模様をしたものがいますし、また中部でもちょっと外れると、


このタニグチコブヤハズカミキリがいます。特徴は上翅に黒い模様があることですね。


下田臨海実験センター付近の伊豆半島にもこの仲間が生息しています。


セダカコブヤハズカミキリという種類で、この仲間では最も広い分布域をもっています。四国や九州にも分布していますが、その各地各地で特有の特徴があって、これを集めるのを楽しんでいる収集家も多いです。伊豆半島のやつはそれなりに希少性があるかもしれませんね。


これらの仲間はブナ林~針葉樹林帯にかけて多く生息していて、有名な山の登山道でも見られることがあります。ササなんかに引っかかっている枯れ葉にくっついていることが多いので、登山のついでに探してみてはいかがでしょうか。

2018年9月29日土曜日

ホヤのドーパミン


「このHPでは研究の話をあまりしない」と言っていた先生ですが、最近少し考えが変わってきたようです。

 

「ホヤのことや科学の情報を、簡単でよいから発信するようなことも重要だろう」

 

と考え直したとのことです。先生は珍しい虫などの紹介をしていますが、これらについても、

 

「身近な自然のなかに、どれだけ不思議な生物であふれているかを伝えたい」

ということから始めたそうです。

 

ということで、少しアカデミックな話題を提供しましょう。

決して蟲ネタが尽きたからではないのだ。

 

つい先日、研究室から論文がひとつ発表になりました。以下です!




 

Pubmedという研究論文のデータベースにリンクを貼っていて、要旨を読むことができます。

 

ドーパミンは我々の脳内で様々な機能をもつ重要な化学物質で、神経細胞から放出されます。インターネットで調べてみると快楽を感じたりとか、恋するときに働くとか、なかなかロマンチックな?機能がクローズアップされていますね。

 

そのドーパミンを作る神経細胞は、(そんな活動とは無縁のようにみえるぼーっとした)ホヤにもあります。そのドーパミン神経細胞が、発生過程でどのように形成されるか、を明らかにしたという内容です。

 
緑に光るのがホヤのドーパミン神経です

より具体的には、ドーパミン神経をホヤが作るときには、Ptf1aMeisという、2つの転写因子が必要で、2つのタンパク質の協調的働きによって、神経系の細胞がドーパミン神経へと分化する、ということだそうです。

 

まあそのあたりのメカニズムは専門的な話になりますが、今回のキーとなる話題は「ホヤにもドーパミン神経があるのだ」ということを宣伝したい、ということだそうです。

 

じゃあ、ホヤも快楽を感じたり恋したりするのですか?

 

うーん、実はホヤのドーパミン神経の機能は分かっていませんが、哺乳類でもドーパミン神経は快楽だけに働くのではなく、それとは独自の機能も持っているので、また別のことに働いている可能性があるんじゃないか、ということだそうです。

 

今回の研究でドーパミン神経がないホヤを得られるようになったので、そのようなホヤを調べることで、ホヤにおいてドーパミンが何をしているのか、が解明されるでしょう。

2018年8月10日金曜日

暑いですね


もう8月、お盆休み直前の時期になりました。今年は特に暑いですね。下田は海に面しているからか、近隣のエリアよりは気温がずいぶんと低いのですが、それでも今年の暑さは体にこたえます。研究室のベテラン(マイルドな表現)も、「頭が回らん」ともがいている様子です。この年がひどく暑かったことを、このブログでも記録しておきましょう。
 
まあこんな時はきれいないものでもみて癒やされましょうか。
 
ホヤの1種、シロボヤの受精卵です。灰白色のなかに特別な「黄色」の細胞質が局在していて、とてもきれいです。笹倉研が主宰する臨海実習では、この卵の観察をいつも取り入れています。先生も、学生の時に実習で観察したそうです。
 
ついでながら?黄色つながりでこんなものにも登場してもらいましょう。
 

ムネモンヤツボシカミキリ。鮮やかな黄色でとてもきれいです。伊豆にも居るそうですが、センターの付近にはいないそうです。
 
花火もそうですが、こんなに暑い日はきれいなものを愛でて心をいやして乗り切りたいところです。