2019年9月4日水曜日

オオトラカミキリの季節

先生:ラボのブログの閲覧数を増やすにはどうしたらいいかな?
私:そもそもブログというのが古いのでは?
先生:えっ?


私:最近はもっぱらTwitterとかインスタとかですから
先生:SNSはやりたくないのぅ


私:じゃあ、できることを頑張るしかないんじゃないですか?
先生:というと?


私:定期的に記事を書く、フレッシュな話題を提供する、興味を持ってもらいやすいネタで書くとか ですかね
先生:どれもこのブログに欠けているものだな!
私:頑張ってください♪



という会話があったかどうかは定かではありませんが、せっかくなのでこの季節ならではの話題を出すことにしましょう。


だいたい9月の初旬、夏が終わる頃になってきて成虫が出現する有名な虫がいます。それがみんな大好きオオトラカミキリです。
*ちなみに地域によってはもっと早く出るところもあります


これがオオトラカミキリです


このカミキリはモミの木を幼虫が食べるため、成虫もモミの木に張り付いているのですが、モミは高木で、しかも成虫は高いところの枝上で普段は生活しているといわれており(見たことないですが)、なかなかお目にかかれない珍しい虫になっています。
*なお、モミの木はいわゆるクリスマスツリーに使われる木です




珍しい上に名前の通り大きく、スズメバチに擬態したカラーリングが綺麗なので虫に興味のある方に大人気です。


今年もこの虫に出会えたのですが、ちょっと変わった採れ方をしたので話してみたくなったのでした。


私:モミがたくさん生えている森に行ったんですよ。
学生:それで?


私:そしたら、オオトラカミキリがたくさん寄生している、珍しい木を発見したんですよ。
学生:たくさん?


私:一本のあまり大きくないモミだったんだけど、4つぐらい、今年まさに成虫が出てきたばかりの痕、穴が集中してあったんですよ。
学生:それって多いんですか?


私:ものすごく多いんですよ。もちろん何年分かまとめるんだったら多くないんですが、オオトラのように数が少ない種が一度にそれだけ1つの木から出るのは珍しいでしょう。
学生:それで?


私:そこで考えたんです。もしかしたらこの木にはオオトラが集まる不思議な魅力があるのかもしれない。そうしたら1匹ぐらい、枝にくっついているかもしれないって。
学生:ふんふん。


私:それで、枝を網で掬って、くっついていたら網にはいるかな~ってやってみたんですよ。
学生:続けてください。


私:そしたら、本当に上から「ぼとっ」てメスが目の前に落ちてきたんですよ。



これがそのときのモミの木です。白いのはヤニです


学生:おお~、よかったですね。
私:採集されてない方も、もしかしたらこんな方法で採れちゃうかもしれないですね。参考になったら、って思ってます。


学生:それで、Nは?
私:えっ?


学生:先生いつも言っているじゃないですか。実験は試行回数と再現性が重要だって。もしそれが有効な採集方法になるんだったら、再現性があるはずですよね。
私:・・・いちです・・・


学生:は?
私:N=1です!そのあと調子に乗って頑張って枝を掬いまくったんですよ。でも他には得られませんでした。


学生:じゃあ、今のところ再現性なしですね。
私:はい。。。


学生:追加実験、頑張ってください♪