2018年12月15日土曜日

アオタマムシと漫画


前回のブログの最後の方に、漫画家の仲川麻子さんの漫画を紹介したい、と書きました。ので今回はそのことを書きます!

 

ハケンの麻生さん」というタイトルの漫画で、タイトルからは想像できない内容なのですが、虫を飼育する会社員の話です。飼育の様子などが結構リアルに書かれていて、なかなか面白い漫画なのです。

 

その漫画の最初の方に、タマムシを採集しに行く、という話になっていて、そのタマムシがいわゆるタマムシ(ヤマトタマムシと呼ばれたりもしている)ものではなく、「アオタマムシ」という、少し(結構?)珍しいタマムシなのですよ。

 

そのチョイスに「しびれるわ~」とムシ好きの先生が惚れ込んでいます。アオタマムシは「アオ」という言葉が付くだけではなく普通のタマムシと結構違っているらしく、タマムシだけでなく甲虫とか昆虫が好きな方が一度は見てみたいと思うような、人気のある美しいムシだそうです(何の役に立つんだ、この知識・・・)。

 

先生もアオタマムシを探したことは何度となくあるらしく、採集できない何年間かはあこがれていたそうですが、数年前にななな、なんと?、先生オリジナルの採集地を見つけて、現在では毎年見つけられるようになったそうです。私はその価値をよく分かってないですが。

 

そのアオタマムシの写真が、これです!確かに、綺麗ですね。


 

漫画では普通のタマムシではなくてアオタマムシを題材にされているというところが、「分かっているな~」と先生談。

 

また巻末の方には、作者の方(虫はそれほど得意ではないそうですが)がわざわざ本物のアオタマムシを探しに行った時の体験談が書かれています。先生はそれを読んだだけで、「だいたいどこか分かる!」と言っていました(本当でしょうか?)。おそらく有名な(誰に?)採集地だそうで、先生も何度か行かれたことがあるそうです。

 

そのほか、ご神木(虫が集まる木)というパワーワードや、上司と部下で一緒に採集に行くような先生にとってはよだれが出るようなシーンとか(えっ?)、ブナとイヌブナを明確に区別しているとか、アオタマムシはオスとメスで採集方法が異なるとか、ネット上で採集情報を収集するとか、虫好きには貴重な情報が満載だそうです。

 

電子版で引き続き販売されているそうですので、もし良かったら(昆虫の奥深さを知るためにも)是非とも読んでみてください!

2018年11月20日火曜日

カタユウレイボヤが漫画になった!

我らが愛する?カタユウレイボヤ。科学史においては世界で初めてゲノムが読まれたホヤであり、動物としても7番目の快挙でした。また最近ではよく耳にするようになった、ゲノム編集がホヤとして最初に行われた種だったり、過去には有名な先生による歴史的な研究に使われたりと、様々なところで活躍しています。


このカタユウレイボヤが、ついに主役!?となる漫画が出てしまいました!


「飼育少女」という、主人公の高校生が生物の先生に教わりながらいろいろな変わった生き物を飼育するという、タイトルそのままながら予想以上に硬派な内容の漫画です。その漫画で、カタユウレイボヤが飼育されたわけです。


たぶんホヤ自体が漫画で出てきたことは何度かあると思います。ただそのほとんどがいわゆる食べるホヤ、日本ではマボヤという種になると思います。カタユウレイボヤが漫画に出るのはこれは希有な例でしょう。


(ちなみに先生は北斗の拳世代で、先生は大学に合格後すぐに徹夜で読んだそうです。これにもホヤ~は出てきますね)


何よりも、今回の漫画の面白いところは写実的な描写だと思います。カタユウレイボヤもそうですが、出てくるどの生物も細かに、リアルに描かれています。そのような描写の細かさや、飼育に対する工夫など、生き物をよく知って、何よりも好きな作家さんが描かれているんだな、と思わせる内容になっています。カタユウレイボヤも、ユウレイボヤではなくちゃんと「カタ」ユウレイボヤとして出てきますしね。


読み物としてもほんわかして面白いだけでなく、生物を知っている方が読めば「くすっ」と刺激されそうな漫画です。是非一度読んでみてください。リンク先は以下で、この記事を書いている今はウェブ上で読めるそうです!


https://babymofu.tokyo/_tags/%E9%A3%BC%E8%82%B2%E5%B0%91%E5%A5%B3


先生は既に1-2巻を買われていて、ホヤの話が載る巻も「絶対買う!」そうです。


作家の方、仲川麻子さん、ですが、この方の描かれた他の漫画についても先生は「ホヤ以上に是非とも紹介したい~」と鼻息荒くされていますが、それは次回に紹介してもらいましょう。そちらは虫がらみだそうです。

2018年10月20日土曜日

秋に出てくるカミキリムシ

暑かった夏も終わり、秋になりました。過ごしやすい日々が続いていますが、この時期になるといつも聞かれることが。。。


「先生、虫もいなくなってしまいましたね!」


いやいや、虫はいなくなることはなく、幼虫など形を変えてちゃんと生育してますから!その気になったら真冬でも採集を楽しめますから。知り合いのベテラン先生なんかは、「冬のほうが本番だ」とばかりに採集されていたりして、なかなか奥深いものなのですよ。


さて、この時期になるといつも紹介したいと思っている不思議なカミキリムシがいます。


この茶色いものがそのひとつ、「フジコブヤハズカミキリ」です。色が示すように枯れ葉に紛れて生活していて、見事な保護色になっています。枯れ葉と縁の深いカミキリで、まさに秋、枯れ葉が増える頃に成虫が出現します。そして、カミキリムシのなかでは珍しく成虫で越冬します。


このカミキリは1~2センチぐらいのサイズがあってなかなか大きく形も特異で、また多くの虫の成虫シーズンが終わった時に出現することもあって非常に人気があるグループです。


フジコブヤハズカミキリはその名の通り、富士山付近に分布していますが、生息域は中部付近に限られています。それは、このカミキリが「飛べない」ことと関係しているかもしれません。そう、飛べないという珍しい?特徴を示すのです。飛べないために各地で種分化が進んでいるようで、東北の方には「コブヤハズカミキリ」という別の模様をしたものがいますし、また中部でもちょっと外れると、


このタニグチコブヤハズカミキリがいます。特徴は上翅に黒い模様があることですね。


下田臨海実験センター付近の伊豆半島にもこの仲間が生息しています。


セダカコブヤハズカミキリという種類で、この仲間では最も広い分布域をもっています。四国や九州にも分布していますが、その各地各地で特有の特徴があって、これを集めるのを楽しんでいる収集家も多いです。伊豆半島のやつはそれなりに希少性があるかもしれませんね。


これらの仲間はブナ林~針葉樹林帯にかけて多く生息していて、有名な山の登山道でも見られることがあります。ササなんかに引っかかっている枯れ葉にくっついていることが多いので、登山のついでに探してみてはいかがでしょうか。

2018年9月29日土曜日

ホヤのドーパミン


「このHPでは研究の話をあまりしない」と言っていた先生ですが、最近少し考えが変わってきたようです。

 

「ホヤのことや科学の情報を、簡単でよいから発信するようなことも重要だろう」

 

と考え直したとのことです。先生は珍しい虫などの紹介をしていますが、これらについても、

 

「身近な自然のなかに、どれだけ不思議な生物であふれているかを伝えたい」

ということから始めたそうです。

 

ということで、少しアカデミックな話題を提供しましょう。

決して蟲ネタが尽きたからではないのだ。

 

つい先日、研究室から論文がひとつ発表になりました。以下です!




 

Pubmedという研究論文のデータベースにリンクを貼っていて、要旨を読むことができます。

 

ドーパミンは我々の脳内で様々な機能をもつ重要な化学物質で、神経細胞から放出されます。インターネットで調べてみると快楽を感じたりとか、恋するときに働くとか、なかなかロマンチックな?機能がクローズアップされていますね。

 

そのドーパミンを作る神経細胞は、(そんな活動とは無縁のようにみえるぼーっとした)ホヤにもあります。そのドーパミン神経細胞が、発生過程でどのように形成されるか、を明らかにしたという内容です。

 
緑に光るのがホヤのドーパミン神経です

より具体的には、ドーパミン神経をホヤが作るときには、Ptf1aMeisという、2つの転写因子が必要で、2つのタンパク質の協調的働きによって、神経系の細胞がドーパミン神経へと分化する、ということだそうです。

 

まあそのあたりのメカニズムは専門的な話になりますが、今回のキーとなる話題は「ホヤにもドーパミン神経があるのだ」ということを宣伝したい、ということだそうです。

 

じゃあ、ホヤも快楽を感じたり恋したりするのですか?

 

うーん、実はホヤのドーパミン神経の機能は分かっていませんが、哺乳類でもドーパミン神経は快楽だけに働くのではなく、それとは独自の機能も持っているので、また別のことに働いている可能性があるんじゃないか、ということだそうです。

 

今回の研究でドーパミン神経がないホヤを得られるようになったので、そのようなホヤを調べることで、ホヤにおいてドーパミンが何をしているのか、が解明されるでしょう。

2018年8月10日金曜日

暑いですね


もう8月、お盆休み直前の時期になりました。今年は特に暑いですね。下田は海に面しているからか、近隣のエリアよりは気温がずいぶんと低いのですが、それでも今年の暑さは体にこたえます。研究室のベテラン(マイルドな表現)も、「頭が回らん」ともがいている様子です。この年がひどく暑かったことを、このブログでも記録しておきましょう。
 
まあこんな時はきれいないものでもみて癒やされましょうか。
 
ホヤの1種、シロボヤの受精卵です。灰白色のなかに特別な「黄色」の細胞質が局在していて、とてもきれいです。笹倉研が主宰する臨海実習では、この卵の観察をいつも取り入れています。先生も、学生の時に実習で観察したそうです。
 
ついでながら?黄色つながりでこんなものにも登場してもらいましょう。
 

ムネモンヤツボシカミキリ。鮮やかな黄色でとてもきれいです。伊豆にも居るそうですが、センターの付近にはいないそうです。
 
花火もそうですが、こんなに暑い日はきれいなものを愛でて心をいやして乗り切りたいところです。

2018年5月23日水曜日

5月の進捗

2018年度がスタートして既に2ヶ月が終わろうとしています。その間、新しいメンバーが加わったり、新たに「重要な!」役職についた先生がいたり、新メンバーの歓迎会をしたり、集合写真を撮ってホームページの差し替えをしたりとしたのですが、、、


誰もブログを書かない。。。。。


それならばいつものようにネタをお願いすることにしましょう。


そういうわけで、先生にこの数ヶ月のプログレスリポートをお願いしました。ちなみににこにこして引き受けてくださいました。


先生曰く、いろいろと成果が出ているということでした。今後のネタ出しのためにも一部は伏せ字にしてくれ、ということでしたが、タマムシの珍品ハ○ロキン○○タマムシが得られたり、式根島で楽しんだり、長年調査していた最終的なデータ(大げさ)を取り終えたりしたそうです(伏せ字にしなくても誰もわかんないんじゃないでしょうか)。研究の方もその調子で進むといいですね。


文章だけだと面白くないので、2つほど紹介してくださいました。


一つはこのカミキリムシです。


ヤツボシシロカミキリというそうで、日本のごく限られた地域にしかみられない、かなり貴重なものだそうです。先生は、「こんな限られた分布をしていて、よく種として維持されているよね。不思議だ」と言ってました。


もうひとつはせっかくなので下田ならではのものだそうです。


ナカバヤシモモブトカミキリだそうで、下田でなくてもいるそうですが、全国的に珍しい虫だそうです。でも、失礼ですけど地味ですね。


先生:いやいやここはですね、「わ~触角が長くて渋い複雑な模様をしてますね!」ぐらい言ってください!

2018年3月16日金曜日

春が近づいてきた!

いくら暖かい下田とはいえ、今年の冬はかなり寒くなりました。天城の方は雪がかなり積もって、その中を無理して調査に行ったうちの先生はかなり危険な目にあった(というか逃げ帰った)そうです。

ただそのような時期ももう終わり、3月も近くなると暖かくなってきました。この数日はもう春だ!と言わんばかりの陽気になっています。

下田の近くの河津では、一足早く「春」を味わうことができます。有名になりましたが、早咲きの桜「河津桜」が2月に見頃を迎えるのです。今回は研究室に実験を学びに来ている方がおられたこともあって、この桜を見に行ってきました。

 
上の桜は特に重要で、この1本の木から河津桜は増やされた、いわば原初の木とでも言うべきものです。河津桜自体は全国で植えられているようですが、このオリジナルの木を見れるのはここならではですね。


この日は晴天に恵まれ、心地よい探索となりましたが駐車場の空きを見つけるのが大変でした!

その日、河津から帰ったあとはパーティをしました。ゲストの方の実験もうまくいったそうで、それはそれは充実した一日でした。

 

次の更新は黒いものシリーズかな(悪魔のささやき)

2018年1月29日月曜日

初投稿が黒い蟲とは。。。


学生:先生、もう1月も終わりですね。

先生:早いものだな。既に1年の12分の1が終わったのだよ。

学生:私たちの修士論文も提出し終わりました!

先生:うん、よく頑張った!

学生:でも、未だに2017年のままのものが・・・・

先生:分かっている。ラボのブログだな。

学生:先生、蟲でいいので(ほんとはよくないけど~)何か大きなネタをお願いします!

先生:うむ、分かった(しめしめ)。ではずっと暖めていたものを投下しようではないか!

 

という会話があったかどうかは定かではありませんが、先生が原稿を書いてくれました。それを基に、私たちはまた蟲のお勉強です。

 

マイマイカブリという、黒い甲虫がいるそうです。カブトムシやクワガタまではいかないもののそれなりに有名らしく、私もそういえば聞いたことがあるように思います。この虫は飛べないので、各地で独自の進化を遂げていて、そのバリエーションを楽しむ通な方が多くて人気があるそうです(私は絶対に触りたくないですが!)




(以下に過激な画像があります)





 

先生によると、なんと我が筑大学がある近くにも、全国的に有名なマイマイカブリの産地があるそうです。ここのやつは青色をしていてきれいだそうです。


 

さて、このマイマイカブリですが、伊豆半島のものはそれなりに人気が高いらしく、「イズマイマイ」と呼ばれているそうです。確かに検索すると出てきます。ただ、先生はこれに対して気がかりがあるようです。

 

「イズマイマイの多くは、どうも伊豆半島の付け根、つまり沼津・三島・熱海に近い方でよく採られているようなんだ。でも、そんな本州の中心に近いところのものを、果たしてイズマイマイと言っていいんだろうか?伊豆半島だよ。南北に長いんだよ。ここ下田から熱海まで電車で1時間30分もかかるんだよ。せっかく下田に居るんだから、我々ぐらいはせめて天城を越えてきた選ばれしマイマイカブリを、イズマイマイと呼ぼうではないか!」

 

私にはよく分かりませんが、要約すると、先生は下田周辺の個体をイズマイマイと認めたいそうです。

 

私:たくさん採れるんですか?

先生:よくぞ聞いてくれた!これが採集の難易度はたぶんトップクラスではないかと思うぞ。私でも、12年でいまだ一桁なのだよ。さらに、採ってもらったのが4つぐらいで、確か自分で採ったのは3匹ぐらいだ。

私:それは、珍しいのですか?

先生:大変珍品だと理解してくれて(たぶん)OKだ(たまたま歩いている個体を拾うしかやってないのは黙っておこう)。さ~話は長くなったが、この珍品マイマイの雄姿を、このブログに捧げようではないか!

 

ということで、これが下田のマイマイカブリだそうです。先生がかつて住んでいた、センター内の宿舎に落ちていたそうです。


 

私:先生、上の黒いやつと違いが分かりません!

先生:まあ、そう言うな。こういうときは「さすがですね~オーラが出てます」とでも言っておきなさい。

私:でも先生、これをイズマイマイと呼んだりしたら皆さんのやつと区別できないのではないですか。下田マイマイとかのほうがいいのでは?

先生:そうなんだけど、「シモダマイマイ」にすると、マイマイカブリの餌のカタツムリになっちゃうのだよね。。。