ギリシア神話の西風の神のことですが、蝶のグループにこの名前を冠するものがあります。響きが大変おシャレで、名前を付けた方はセンスあるな、と思います。日本語では、「ミドリシジミ」の仲間のことを指します。日本語はちょっと地味ですね。
メスアカミドリシジミ。ゼフィルスは翅の裏も特徴的な模様をしています
このミドリシジミの仲間の多くでは、その名の通りオスの翅が金緑色に輝き、その美しさは熱帯のモルフォチョウにも匹敵します。ただシジミチョウなのでそれほど大きくはありません。ほかにも、赤、というかオレンジ色の翅をもつアカシジミなど、ミドリではない種もいくつかいます。
筑波大学の中や、この下田周辺でも何種類かはいます。ブナ林だと種数は増えます。
ミドリシジミの仲間に出会うには飛び回る成虫を見つけるほか、越冬する卵を見つけるのも一般的になっています。冬であまり採集するものがない中、この卵を探しておいて、春に幼虫を飼育するのです。
飼育はあまり得意ではないのですが、この冬はずっとやってみたいと思っていたゼフィルスの飼育にチャレンジしてみました。
といっても、寒い冬の森の中で1mmにも満たない卵を探すのは容易ではありません。だいたいどのような場所に産むのかは分かっているのですが、経験がないとなかなか見つかるものではありません。種によっては高いところに産むので危険な木登りなども必要だと聞きます。
既に絶版になっている採卵のマニュアル本を何とか入手して勉強し、何度か採集に行ってようやくコツを掴み、少しだけ採集できました。はっきりいって、事前知識がないと話になりませんが、知識があるだけでは全然だめで、経験値を積む必要があります。
卵が得られたら飼育が待っています。ゼフィルスの多くはブナの仲間の新芽や花を食しますので、飼育にはそれらを入手する必要があります。自然界ではどの樹を食べるかはほぼ決まっていますが、飼育下ではだいたいどれでも食べます。下田周辺はクヌギやコナラ、カシなんかがたくさん生えているので、それほど苦労しません。
カミキリやクワガタと違って、チョウの幼虫は栄養価の高いものを食べるためか大変成長が早く、見る見るうちに大きくなっていきます。なので飼育するのが楽しいです。そして1か月もしないうちに成長が終わり、蛹、そして成虫になります。羽化したての成虫をみると、それまでの苦労が報われる思いです。
オオミドリシジミ 学名がFavonius
orientalisで、Favoniusはローマ神話でゼフィルスに相当する神の名だそうです。
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キリシマミドリのメスです |
キリシマミドリシジミ。日本産ミドリシジミの中で一番の輝きをもつ種で、似た色彩の種はいません。表だけでなく裏も銀色で派手です。おまけに木の低い位置に卵を生むという優しさまで備えています。やや南方系ですが、伊豆には結構います。
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メスの翅の表側 |
キリシマはメスもブルーのラインがはっきり出て大変きれいですが、やはりキンキラキンのオスが見たいところです。が、、、、飼育した4匹すべてが雌になりました。偏りすぎではないでしょうか。
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