ばたばたしていたら時間が経過してしまいました。
前回、ルリクワガタには面白い特性があると書きました。まず、広く周知されている事実として、ルリクワガタの仲間は大きく分けて3種類が日本に分布しています。
*現在、ルリクワガタの仲間の分類は混沌としていますが、長く採用されてきた分類をここでは採用しています。
ルリクワガタ
コルリクワガタ
ホソツヤルリクワガタ
です。それぞれのオスの写真を左からこの順番で貼っていますが、分かりますか?区別点に興味がある方は、調べてみてください。
メスも貼りましょうか。ルリクワガタのメスが左で、コルリクワガタが右です。メスはさらに分からないですね。。。
ただ、ひっくり返すと、ルリクワガタのメスは腹部が黒いので分かるんです。
*前回の投稿のメスの写真で、左右で種が違います。見てみてください*
さて、これらは単に形態上異なるだけでなく、産卵する木の状態が大きく異なるのです。そのため、その習性を知っていると、狙って採集できるようになります。
ルリクワガタは、太い枯れ木・倒木に産卵します。立ったまま枯れた太い木なんかがよいです。
コルリクワガタはそれとは真逆で、細くてもいいので倒れて地面に半分埋没しているような、水分が多くて黒っぽく腐朽が進んだ朽ち木に産卵します。
ホソツヤルリクワガタは、細くてやや乾燥が進んだ、立ったままの枯れ木に好んで産卵します。
これはコルリクワガタが入っている朽ち木の状態です |
このような枯れ木・朽ち木の状態への好みの違いは、もちろん生き物のことですから100%当たるわけではありません。ただしかなり明確で、もし「コルリクワガタ」を得たいと思っても、ルリクワガタが好むような木ばかり探していてもまず見つけることはできません。習性を知ることが、生物に出会うために大変重要であるという好例であろうとおもいます。
ルリクワガタの例のように、餌の好みを上手くずらすことで競争を避ける仕組みを、棲み分け、といって、これは高校の教科書などでも習う現象です。日本ならではの現象で、少し高い山に登れば実地に観察することもできるので、棲み分けを実地に勉強するにはよい題材だと思っています。