言わずと知れた超有名な虫で、多くの方がその名前を聞いたことがあると思います。カブトムシやクワガタムシに興味が出た子供には憧れの虫で、野外で一つでも採集できたら一生の思い出になったのではないでしょうか。他のクワガタとは一線を画するほど得がたいこと、名前の通り相当大型になり迫力があること、変わった形の大あごなど、人気が出るのも頷けます。珍しい割に北海道から九州まで広く生息していることもこの虫を有名にした一因でしょう。
私のコレクションのなかに、数体のオオクワガタがあります。どれもあまり大きな個体ではありませんが、これらは自力で採集したものです。オオクワガタにも有名な産地というものがあり、私が小学生~中学生の頃は、今から思えば採集自体はそこまで難易度が高い虫ではなかったように思います。もちろん小学生の私には相当採集は厳しかったのですが、それでも親に連れて行ってもらった時には2回に一度ぐらいは採集できたものです。まあ採集できるのはメスが多かったのでなかなか満足いく採集にはならなかったのですが。もし今の状態のまま当時に戻れたらもっと採集できたでしょう。
現在では、この虫を取り囲む状況は悪化するばかりで、自然状態のこの虫を入手するのは本当に難しくなりました。オオクワガタが多い地域の代表は、いわゆる里山という環境です。この里山は利用価値が低いと考えられるのか、伐採によって日本からどんどん失われていっています。オオクワガタが好むのは巨大に成長したクヌギなどの木です。こんな木は一度無くなると、復活するにも相当な時間が掛かります。昔はこのような大きな木がたくさん残っていた地域でも、どんどんと伐採されていき、特に最近ではソーラーパネルを敷き詰めた土地へと変貌していっています。
つい最近、久しぶりにオオクワガタの有名産地に赴いたときにも伐採されている林があり、なんとも言えない気持ちになりながら散歩していました。私が初めてこの虫を手に入れた木は奇跡的に未だに残っていますが、この木が失われないことを願わずにはいられません。
その一方で、飼育下ではオオクワガタを繁殖させることは難しくなく、養殖された個体はものすごい量になっています。昔は購入するにも大変だった種でしたが、今はそこそこ大きな個体であれば(といっても野外で入手するのは奇跡のレベルの大きさです)手頃な価格で入手できてしまうので、入手に関してはずいぶん敷居が下がったような状態で、良いのか悪いのか、なかなか悩ましい状態ですね。

