2018年10月20日土曜日

秋に出てくるカミキリムシ

暑かった夏も終わり、秋になりました。過ごしやすい日々が続いていますが、この時期になるといつも聞かれることが。。。


「先生、虫もいなくなってしまいましたね!」


いやいや、虫はいなくなることはなく、幼虫など形を変えてちゃんと生育してますから!その気になったら真冬でも採集を楽しめますから。知り合いのベテラン先生なんかは、「冬のほうが本番だ」とばかりに採集されていたりして、なかなか奥深いものなのですよ。


さて、この時期になるといつも紹介したいと思っている不思議なカミキリムシがいます。


この茶色いものがそのひとつ、「フジコブヤハズカミキリ」です。色が示すように枯れ葉に紛れて生活していて、見事な保護色になっています。枯れ葉と縁の深いカミキリで、まさに秋、枯れ葉が増える頃に成虫が出現します。そして、カミキリムシのなかでは珍しく成虫で越冬します。


このカミキリは1~2センチぐらいのサイズがあってなかなか大きく形も特異で、また多くの虫の成虫シーズンが終わった時に出現することもあって非常に人気があるグループです。


フジコブヤハズカミキリはその名の通り、富士山付近に分布していますが、生息域は中部付近に限られています。それは、このカミキリが「飛べない」ことと関係しているかもしれません。そう、飛べないという珍しい?特徴を示すのです。飛べないために各地で種分化が進んでいるようで、東北の方には「コブヤハズカミキリ」という別の模様をしたものがいますし、また中部でもちょっと外れると、


このタニグチコブヤハズカミキリがいます。特徴は上翅に黒い模様があることですね。


下田臨海実験センター付近の伊豆半島にもこの仲間が生息しています。


セダカコブヤハズカミキリという種類で、この仲間では最も広い分布域をもっています。四国や九州にも分布していますが、その各地各地で特有の特徴があって、これを集めるのを楽しんでいる収集家も多いです。伊豆半島のやつはそれなりに希少性があるかもしれませんね。


これらの仲間はブナ林~針葉樹林帯にかけて多く生息していて、有名な山の登山道でも見られることがあります。ササなんかに引っかかっている枯れ葉にくっついていることが多いので、登山のついでに探してみてはいかがでしょうか。

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