2023年12月30日土曜日

ルリボシカミキリ

 日本を代表するカミキリムシといってよいものはいくつかいますが、この種を挙げる方が多いのではないでしょうか。カミキリの範囲を超えて日本で最も美しい昆虫の一つで、大きさも2から3センチぐらいあり、興味のある方ならば一度は見てみたい種でしょう。切手やチョコエッグの景品にもなったことがあります。

 

山梨で枯れた木に飛来した個体

ルリボシカミキリは日本産のカミキリムシの中では珍品というほどではなく、コツさえ知っていればそれなりに出会えます。北海道から九州付近まで幅広く生息し、夏、広葉樹の枯れ木にオスメス共に集まります。やや古い木が積んであるようなところがよく、条件が良いとぶんぶんと飛び回っていることがあります。また、カブトムシやクワガタムシのように樹液に集まることもあります。

 

最近では分布が拡大している様子もあり、低標高地のちょっとした林でも見られたりするようにもなっています。とある方から、筑波大でみたような、と言われたこともあります。一方で、本種がいかにも生息していそうなのですが、伊豆では私は見たことがありません。

 

南西諸島には、これの色違いがいます。青のところがオレンジ色になっていて、こちらはこちらで相当綺麗な種類です。

 

フェリエベニボシカミキリ オスです

写真のものは「フェリエベニボシカミキリ」といって、奄美大島に見られる種です。習性はルリボシカミキリに近いのですが、こちらは相当の珍品でなかなかお目にかかれるものではありません。現在は、条例で採集が禁止されています。

2023年12月1日金曜日

ウラギンシジミ

 昆虫に興味を持つようになるきっかけになるものの代表が、チョウです。様々な美しい種がいて、ほとんど昼行性なので目に付きやすく、人気が出るのも頷けます。

 

通勤途中に、このようなチョウが道ばたに止まっていました。なかなか派手な色をしています。

 


これはウラギンシジミといって、表側の色からは想像しづらいですが、裏は銀白色をしています。翅を閉じたところで、その様子がよく分かると思います。

 


この個体はオスです。メスは写真で赤の模様が銀色になります。雌雄で大きく色が異なるので、印象が大きく異なります。私はメスを見たことが数回しかなくて、写真も持ってないのです。見かけるのはオスが多いように感じます。

 

このチョウは分布も広くてあちこちに居ます。フジやクズといった、よく見られる植物の花を幼虫が食べるので、分布も広くなっています。

 

ちなみに成虫越冬で、この時期に成虫になって、このまま冬を過ごすのでしょう。無事に春を迎えられるといいのですが。

2023年11月6日月曜日

カメムシが多いようですね

この間、電車に乗っていたときのこと。私の横に旅行中のグループがいたのですが、わいわいと騒いでいました。様子をみると、、、

 

カメムシがとことこと床を歩いていて、どうも荷物に登りそうになっているのを嫌がっている様子でした。

 

結局、勇気のある(?)方の機転で件のカメムシは歩く方向を換え、いつの間にかどこかへ行ってしまいました。

 

こんなこともあるように、今年の秋はカメムシが大発生しているようで、ニュースにもなっていました。下田でも窓に複数の、緑でやや大型のカメムシがべたべた張り付いています。

 


こんなやつですね。こちらでは悩まされるほどの大発生、というわけではないですが、探すのに苦労はしないぐらいはいますね。

 

大発生のニュースを読むと、騒がれているのは「ツヤアオカメムシ」という種だそうで、下田で発生しているものも同一かな。似た体色の別種がいるので自信はそれほどありませんが、つやがあるし、まあそうでしょうか。

 

ちなみにこの個体は、壁に張り付いて何日も同じ姿でいたのですが、そのまま死んでしまっていました。

 

世間的には嫌われ者のカメムシですが、以前紹介したアカスジキンカメムシとか、綺麗な種もたくさん居て、匂いさえなければ結構な人気グループになると思うのですが。。。

 

以前の記事で使ったアカスジキンカメムシの写真です

この前の記事はこちらですね

https://ciona-genetics.blogspot.com/2020/08/blog-post.html


ちなみに、この間天城で見つけたこれ、分かりますか?

 


これは、上記のアカスジキンカメムシの幼生で、大人とは大きく異なる色模様をしています。カメムシにはそのような特徴を持つ種がたくさんいます。成虫と幼虫でそれほど生息環境が変わるわけでもなさそうなものですが、不思議ですね。

2023年9月22日金曜日

アカジマトラカミキリ

 (今回は短めです)

日本の虫とは思えないような、派手な色彩をしたカミキリムシで、実物は大変綺麗です。図鑑でも目立つ存在で、興味が出てくると絶対に欲しい、見たい、と思う人気のあるトラカミキリです。

 

これがアカジマトラです

本州から九州まで広く分布していますが、出会うにはいくつかの工夫が必要です。まずこの種は真夏を過ぎた9月頃に成虫が出てきますので、時期を見定めて狙いに行く必要があります。ケヤキなどで発生しますので、大きなケヤキの木がたくさん残っているような環境が好ましいです。逆に大きな木が残っていたら、市街地のちょっとした林でも見られることがあります。また、この種は夕方になって活動が活発になるという特徴があり、時間にも気を配る必要があります。

 

実は、1970年頃だったかな、ずいぶん昔になりますが、伊豆半島がこのカミキリムシの有名な採集地だったことがあります。古い図鑑にはそのことがちゃんと紹介されています。

 

今は、伊豆の多くの場所が伐採、植林されてしまったり、他の地域で良い採集地が見つかったりして、この種を求めて伊豆に来る方はほとんどいなくなりました(と思います)。今でも少ないながら生息はしているのですが、伊豆の環境的にも採集するのは易しくはありません。

 

中国や台湾にはこれの近縁種がいて、中国では黒のストライプがほぼ無くなって真っ赤のやつが居ます。台湾の近縁種には「アケボノトラカミキリ」といった素敵な名前が付けられていて、名前に違わず大変綺麗です。

 


2023年8月28日月曜日

高標高地のオオトラカミキリ(2)実践編

 前後半に分かれた本ブログ記事は史上初ではないでしょうか。

 

さて、私も高標高地のオオトラを是非ともこの目で見たいと15年ぐらい思っていました。高標高地のものは、黒色の帯が発達してカッコよいという特徴があります。これは是非とも見たいです。

 

ということでず~っと狙っていました。何度も採集に行きましたが、そのたびに敗北し続けました。生息は確実な場所に行きますが、目撃すらせず、成虫の気配を感じることすらないまま年月が過ぎました。いつも採れないので途中であきらめて他の虫を探しに浮気しました。

 

昔オオトラが脱出した痕跡。生息は確実なのですが。。。



そんなこんなで迎えた某年8月某日、絶好の好天気の日がきました。「今年こそは」と気合を入れて朝から森に入ります。午前中はハナカミキリやチョウを観察して過ごします。そうしているうちに午後になり、いよいよオオトラによい時間帯を迎えました。

 

午前中はこのようなチョウで癒やされました

まず、どこで狙うかを考えます。日当たりがよく、歩きやすいところが良いですが、そのようなところは多くありません。目星を付けていたところに移動し、探します。よいと思った場所に入ったものの、しばらくは全く採れませんでした。やはり木が多すぎます。

 

う~ん、と考えを凝らします。オオトラの行動を予想し、居そうなところを絞り、シラビソの木を一つ一つ確認します。そしてついにその瞬間が目の前に、、、

 

産卵中です

見つけました!初めてこの地に足を踏み入れてから15年ぐらい、ようやくです。今日は浮気せずにオオトラに集中してよかったです。

 

でも、これで終わらなかったのです。まだ木はあるので見て回ると、次から次へは大げさですが、ぽつぽつと見つかるオオトラ。。。。。

 

これはやや黄色みが強いかな

こんなこともあるもんですね。

 


上が高標高のもの、下が低標高の産地のもの、確かに上のほうが黒い(というか黄色の縞が細い)です。

 

・・・・・ということで、大成功で終わったこの度の採集でしたが、科学者としては再現性実験をしなくてはなりません。ということで次の週、やはり好天の日、似た条件のエリアを見つけて朝から探索してみました。前回と同じ場所も含め、8時間も歩き回りましたが、、、、、、

 

何の成果も、得られませんでした!

2023年8月22日火曜日

高標高地のオオトラカミキリ(1):知識編

 今年もお盆を過ぎ、虫のシーズンも終盤に向かっています。今年は異常なほど暑く、この暑さで虫も参ってしまったのか、全国的に採集が難しい年であったように感じます。

 

さて、この季節になるとオオトラカミキリのことを意識し始めるようになります。このブログでも数回紹介してきましたが、だいたい9月頭が本番なのですが、、、。

 

オオトラカミキリです

実は、オオトラにはひとつ不思議な習性があります。このカミキリは、北は北海道、南は九州まで広く分布し、しかも標高100mぐらいの低地から、2000mを超えるところにもいる(これを垂直分布といいます)という、異常なぐらい広い適応性があります。

 

この広い分布に関連するのですが、オオトラは北や高標高地では早く出現します。7月の終わりから8月にかけて成虫が出てくるのです。これらの地域では気温が下がってくるのも早いために暑いうちに出るのでしょうが、どのように自分が生息している地域の特徴に合わせた習性を示すのか、不思議です。

 

ちなみにカブトムシでは、北の個体群は南のものよりも成長速度が速いなどで、羽化までのタイミングを調節しているという素晴らしい研究成果があります。ふ化から成虫になるまで2年かかり、季節に合わせて木を複雑に食べることも分かっているオオトラがどのように調節しているのか、興味が尽きません。

 

(参考URL

https://academist-cf.com/journal/?p=13491

 

ということで、オオトラは9月にならなくても、もっと早くから採集できるのです。

 

ちなみに、低地での9月のオオトラ採集は

 

・くっそ暑い

・カやアブ、マダニ、ヤマビルなどの不快なものが多い。クモの巣も大量

・ハチ、特にスズメバチが狂暴化する。樹液が出ている木があったら大量にたかっていて、本当に危ないです

・副産物がほとんどいない。もう季節は終盤戦、低地ではほとんど何も残っていません。オオトラがゲットできないと、コレクションが1mgも増えないことにもなります。財布は軽くなります

 

という、地獄の採集になります。とある知り合いは私に向かって、「普通の神経を持っていたらすることではない」とまで言いました。

 

それに比べて8月上~中旬の標高の高い地域ときたら

 

・暑いといってもそれほどでもなく快適

・蚊とかはそれほどでもない(アブは最近増えていますが、、、)。マダニはいます

・終りに近いといってもまだまだ副産物がたくさんいます。午前中はノリウツギやリョウブといったおしゃれな花を愛でながらハナカミキリや蝶を観察し、午後からオオトラを意識しながらのんびり木に集まる虫を狙えばいい

 

という、天国のような採集を楽しむことができます。

 

副産物の1つ:オオクロカミキリです

でも、高い標高での採集には致命的な欠点があります。虫捕りの成功は、ターゲットの密度が重要です。出会う確率を上げるには、個体の密度(これを個体群密度といいます)が高いほうが良いです。

 

オオトラはモミの仲間を食べますが、高標高地にはモミの仲間、シラビソとか、がこれでもかと生えています。オオトラは特定の木にあまり集まりません。木をひとつひとつ見ていく地道な作業が必要ですが、あまりにも木が多すぎなのです。いくらオオトラが多くても、木のほうが圧倒的に多くて、密度がどうしても低くなります。木を一つ一つなんて到底みてられません。

 

シラビソだらけです

ということで、高標高地ではオオトラに出会う確率自体が低いので、採集難易度はものすごく高いのです。。。。世の中、そんなうまい話はありません。

2023年7月31日月曜日

メスとオス

 コレクターというものは業の深いもので、珍しい種も最初は1匹でも採れば喜ぶのですが、次第にメスオス両方欲しいとか、大きな個体が欲しいとか、そのようになっていきます。

 

特にメスオス両方揃えたいというのは一般的な要求で、例えばカブトムシやクワガタムシのようにメスオスの差(これを性的二型といいます)が激しいと、両方欲しくなるのは当然でしょう。

 

カミキリムシはメスオスの差がそれほど明確でない種が多いですが、それでも「オスはメスに比べて触角が長くてかっこよい」とか「メスはオスよりも大きくて迫力がある」とか、なんやかんや言っては両方欲しくなるのです。

 

さて多くの動物では、「メスとオスの比率はほぼ1:1」となっています(もちろん例外もたくさんあります)。でも、実際に野外で見られる個体がメスオス1:1とは限りません。なかには、メスとオスの行動パターンが違うので、どちらかが得られにくいものがあるのです。そのような種がそもそも珍しい種であれば大変やっかいで、両方揃えるのに何十年とか、掛かったりもします。

 

カラフトホソコバネカミキリ、という長~い名前のカミキリムシがいます。学名Necydalis sachalinensis から「サハリン」とも呼ばれています。カラフト(サハリン)にちなんだ、細い体型で、前翅が短くなってハチに擬態するカミキリムシ、という意味です。

 

カラフトホソコバネカミキリ です

このカミキリムシは、日本では中部山岳地帯を中心に生息していて、生きたカラマツという木の、樹皮がはげてしまったようなところを幼虫が食べるという、非常に珍しい習性を持っています。そのような特殊な習性故かかなりの珍品で、なかなかお目にかかれる種ではありません。

 

こういうところに産卵します

特にこいつのオスは滅多に採集できないことで有名です。メスは産卵に来るので樹皮がはげたところで待っていたら採れることがありますが、オスを見かけることはまずありません。オスは午前中に飛び回ってメスを探して交尾するらしいのですが、メスは一度交尾するとオスを誘引しにくくなるためか、産卵に来る交尾済みのメスを待っていてもオスには偶然でしか出会えないのです。

 

ということで何とかサハリンのオスを採りたいと、7月のとある日、5時間以上掛けてポイントにたどり着き、早朝から森に入ってうろうろと探索を始めます。9時頃にメスを1つ見つけましたが、既に産卵を始めています。もうオスとの交尾はとっくに終わってしまったようです。その後もメスは見つけられますが、オスはなかなか出てきません。午前中が勝負といわれていますので焦ってきます。疲れも相当溜まります。

 

「まあいいか、サハリンのオスはメスとほとんど変わらないから、まあいらないよね」とか言い訳を始める始末です。

 

森に入って6時間も経過した頃、ようやくオスを見つけました。しかもメスとの交尾中です。ホッとして写真を撮ろうとしたとき、、、カメラの故障に気付きました。写真を撮っても画像が保存されてないのです。

 

こんな滅多にないチャンスにうわ~~~っと慌てますが、仕方ないので、スマフォを取り出して何とか撮れた写真が次のものです。

 

下を向いて交尾中のカラフトホソコバネ

なんとか分かる(かもしれない)写真が撮れました。

そしてオスを確保し、「やはり触角が長くて格好いいな~~~最高!」とか、感想を漏らすわけです。


2023年6月27日火曜日

モリアオガエル

 非常に有名なカエルで、木の枝に泡を作ってその中に産卵するという特殊な習性を持っています。


伊豆はモリアオガエルで有名な土地で、天城山にある「八丁池」がこのカエルがよく見られる場所となっています。Wikipediaにも書かれていますが、結構歩かないとたどり着けないので気軽に見に行ける場所でもないのです。このようにモリアオガエルは山深いところにいるようなイメージがあり、実際にこれまで見たことがありませんでした。


ところが、このセンター付近に普通に存在していることが数年前に分かりました。雨の降った夜に、たまたま舗装道路に出てくるのを見つけたのです。アマガエルと同じ仲間ですが、大きさが全然異なり、非常に迫力がありました。


そして今年、なんと通勤路でこんなものを発見したのです。



モリアオガエルの卵塊です。


実は卵塊が出てくる数日前に、成体が数匹集まっているのを見かけていたので気をつけていたのですが、まさか本当に産むとは驚きました。10年以上この道を通っていますが初めて見ました。というか卵塊を見たのも初めてです。


この卵塊がどうなるか、しばらく様子を見てみましたが、梅雨にもかかわらずほとんど雨が降らない日が続いてしまい、、、、



2週間ぐらいずっとくっついたままで、しぼんでしまいました。



残念に思っていたところ、なんと6月末にもう1つの卵塊が産み付けられていました。


今度こそ上手く育ってほしいものです。

新しいのが下、古い方が右上にあります


ちなみに、産み付けられている木は「ナシ」でしょう。何でこんなところに生えているのだろう?ナシはカミキリムシに非常~~~に好まれる木で、集虫力が半端なく高いです。

2023年5月29日月曜日

変わった模様をした虫

 先週かな、私の机にこの虫が届けられていました。

 

私が撮影した割にはピントがあっています



エサキモンツノカメムシと言いますが、見たとおり「ハートマーク」が特徴のカメムシです。ねつ造ではなくて本当にこのようなマークを持っています。

 

この個体のマークはかなり綺麗な形になっていますが、個体によってはハートに見えにくいものもいます。

 

ちなみにそれほど珍しくなく、下田近辺でもよく生えているミズキの木にたくさん付いています。ミズキは5月頃に白色の花を咲かせる木で目立ちます。

 

 

続いてこの虫。

 


ラミーカミキリといいまして、日本の虫?と疑問を持ってしまうぐらい綺麗な色をしています。実際に良く話題になる外来生物のひとつです。昔は日本にいなかったということですが、私が小学生の頃にはとっくに日本で増殖していて、食草であるカラムシという植物にたくさん付いているのを見つけて驚いたことがあります。

 

この虫はとあるキャラクターに模様も色合いも似ていると言われています。チャピンとかいうものですね。確かに言われたら似ているような気もします。

 

赤丸を付けたところの模様のことです

でも私はこの前胸にある黒の2つのが、ガイコツの虚ろな目を連想してしまってちょっと気持ち悪いと思うこともあります。感性は人それぞれですね。

 

今頃には成虫が出現し、寿命が長いのか真夏でもみることも珍しくありません。8月末に得たこともあります。全く珍しくない虫ですので、探してみてください。センター周辺ではカラムシという植物の他、事務室前のハイビスカスなんかでも発生しています。

2023年4月27日木曜日

偽物とかダマシとか

 先日、私の網に入った虫

 


これは、全然カミキリムシらしくないように見えますがちゃんとカミキリムシで、キバネニセハムシハナカミキリという、かなり長い名前が付いています。漢字にすると「黄翅偽葉虫」とかですかね。確かにハムシに見えます。虫の同定に慣れていても分からなくなることがあります。


ちなみにハムシは次の写真のような虫です。

 


さて、次に出会った虫

 


この黒い虫は、同定にやや自信が無いですがおそらくナガハムシダマシとかよばれているものでしょう。間違っていたら済みません。

 

重要なのは、「ハムシダマシ」という名前です。この虫も、ハムシに見え、、、、なくもないのでこのような名前が付いています。

 

しかし、こちらの虫もハムシではないのです。カミキリムシでもありません。この虫は、実は「ゴミムシダマシ」の仲間です。うーん、救いがありませんね。

 

ハムシダマシにはこんなのもいます。

 


アオハムシダマシです。かなり綺麗な虫ですが、採集に慣れると迷惑なほど相当たくさん網に入るのでありがたみはあまり感じられません。もちろんこれもゴミムシダマシの仲間です。

 

ちなみにゴミムシダマシの仲間は臭い匂いを出す種が多いので、摘まむときには注意が必要です。注意しようが摘まんだらにおいが付くのはほぼ避けられませんが。私はこのにおいが大嫌いで、臭い虫の横綱であるカメムシとどちらかを触れと言われたら、迷わずにっこりカメムシを触るぐらいには嫌いです。アオハムシダマシはあんまり匂わない気がします。

 

でも、ゴミムシダマシの仲間はそれなりに人気のあるグループで、日本では一冊20000円近くする専門の図鑑まで出ています。ハムシにはこれに相当する図鑑はありません。出たら買うのですが。

 

さて、この記事にもちょっとした「ダマシ」が入っています。。。。。厳密に言えばだましてないのですが、下の方にヒントを書いておきますね。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年は色々と多忙になっています。

2023年3月31日金曜日

春の来訪者

 春になりました。センターの近くでもソメイヨシノが満開です。

 

ほぼ満開です

このくらいの気温になると、生き物の活動も活発になり、夜になると街灯に集まる虫が目立つようになります。

 

そのような虫の中でも、一目見たら忘れられないデザインのものがいました。それがこちらです。

枯れ葉ではありません。。。


 

アケビコノハといって、結構大きめの蛾です。止まっているときはこのように枯葉にしか見えませんが、、、、

 


後翅は鮮やかな黄色をしていてかなり奇麗な種類です。名前の通り、アケビを食べます。確かにこの辺にはアケビがたくさん生えています。

 

植物に依存する昆虫の分布は当然のことながら、その植物の分布に強い影響を受けます。虫を探す人は、虫だけでなく植物についても知識を蓄える必要があります。

ちなみにアケビコノハは成虫越冬します。暖かくなって、飛び出してきたのでしょう。

2023年2月28日火曜日

春が近づいています

 まだまだ寒い日が続いていますが、着々と春が近づいていることを感じます。伊豆では早くも桜を楽しむことができる季節がやってきました。河津桜という品種で、下田に近い河津町発祥の早咲きの桜です。伊豆には何カ所かこの桜がたくさん植えられているところがあって、2月の後半になると多くの観光客が訪れます。

 


もちろんこの季節には他にも花が咲き始めます。

 


菜の花とか

 


スイセンとかも咲いています。

 

写真は載せませんが悪名高きスギもこの季節ですね。山が茶色く見えるぐらい咲いています。

 

あと一月もすると、全国でソメイヨシノが咲く季節になりますね。

2023年1月31日火曜日

下田の冬の名物

 皆様、あけましておめでとうございます。すでに2023年も1か月が過ぎようとしていますが、ようやくブログを書くことができました。今回は、タイトルの通り、下田の冬によくみられるものを紹介したいと思います。

 

寒くなったころ、道を歩いていると下の写真にある、光沢のある紐のようなものが落ちていることがあります。質感的には、昔流行したカセットテープにそっくりですが、もはや通じない方も多そうですね。

 


これ、実は生き物なのです。その名も、「ハリガネムシ」といって、寄生虫の一種です。主にカマキリとかバッタなど様々な昆虫の体内に寄生して、その行動を制御するといわれています。水に飛び込ませるのです。そして虫が水に触れたら外に出てきて、繁殖するといわれています。

 

このハリガネムシがなぜか下田にはたいへん多くて、あちらこちらに落ちています。下田に来た当初はカセットテープがよく落ちているところだな~、と思っていたのですが、よく見たらこれもあれもハリガネムシで驚きました。

 

この冬は特に多いのか、1月の中旬、大寒波が訪れた際に道にたくさん落ちてました。中には下の写真のように、半生乾燥が進んでない、動き回っている個体もいくつかありました。この寒さの中動けることに驚くとともに、うねうねとした動きがいかにも寄生虫という感じで、大変気味が悪いものでした。

乾燥してない状態だと、寄生虫らしい生々しい色をしていますね


水に落ちた虫から這い出たハリガネムシがどうして道とかで見られるのか、よくわからないのですよね。水たまりで這い出たが干上がってしまったのでしょうか?